「打撃の方向性が定まらず試行錯誤を続けていましたが、今年は打撃フォームを改造して引っ張った力強い打球が目立ちます。3番に定着して打率3割、15本塁打、70打点をマークすれば間違いなく得点力が上がる。広いバンテリンドームで本塁打を量産するのは厳しいですが、左中間、右中間に二塁打を飛ばす力は持っている。森野将彦(現中日2軍打撃コーチ)のように中距離打者で機能すれば打線がガラッと変わります。周平を三塁で固定できるプラスアルファは打撃だけではありません。ゴールデングラブ賞を2度受賞するなど守備能力が高い。中日は基本的に守り勝つ野球。周平の復活が不可欠です」
守り勝つ野球の下地になる投手陣は先発、救援共に充実している。先発ローテーションは柳裕也、涌井秀章、メヒア、小笠原慎之介、大野雄大、梅津晃大。救援陣は勝野昌慶、清水達也、松山晋也と剛速球を武器に三振奪取能力が高いセットアッパーがそろい、日本一の守護神、ライデル・マルティネスが控える。松山は開幕カードのヤクルト戦で2試合連続痛打を浴びたが、4日の巨人戦(バンテリンドーム)は1回2奪三振無失点に抑えており問題はないだろう。
不安があるとすれば、先発陣のバックアップか。
「大野、梅津は故障明けであることを考慮すると登板間隔を空ける時期を考えなければいけないが、根尾昂や仲地礼亜がファームでピリッとしない。松葉貴大、福谷浩司、育成枠で成長著しい松木平優太を含めてどんどん出てきてほしい。シーズンは長丁場なので、先発投手が1人でも多いに越したことがないですから」(前出のスポーツ紙デスク)
昨年首位を独走した阪神の強さの源は投手力だった。先発陣は村上頌樹、大竹耕太郎、伊藤将司、青柳晃洋、才木浩人、西勇輝、西純矢と質、量ともに他球団を凌駕していた。
「混戦になれば、最後にモノを言うのが投手力です。打線は水ものですから。中日は阪神の野球がお手本になる。安打が出なくても四球で出塁し、機動力を絡めて得点を奪い、投手陣が最少失点で抑える。このチームに足りないのは成功体験です。白星を積み重ねれば選手たちは自信がつくし、目指している野球の方向性に迷いがなくなる。昨年は3、4月に8勝15敗と負け越して出鼻をくじかれた。今年は勝率5割をシーズン終盤までキープして優勝争いに食いついていけば、他球団との戦力差は大きくないので、チャンスは十分にあると思います」(中日を取材する記者)
立浪監督は就任3年目で期する思いが強い。今年はセ・リーグの「台風の目」になれるか。
(今川秀悟)