わっかフェスの最後は、全員でゆずの「栄光の架橋」を歌った

「夏を大切にして、夏が来るのをみんなすごい楽しみに毎年お祭りをやっていると思いました。雪国ならではだって」(岩沢さん)

 伝統芸能は、人から人へと伝承されてきた。だが、いま少子高齢化や人口減少で、伝統芸能に携わる若い担い手が全国各地で減っている。大学生がそれに関わることについて、北川さんはこう話した。

「伝統芸能を知らずに育っていく子が多い中で、若い世代が学ぶことでそこに興味を持つ方もたくさんいる。(高齢者と若者という)共通点があまりない世代が伝統芸能を通しコミュニケーションをとって、互いに持っているものを交換できるのも、すごくいいことだと思います」

絆と温かさ感じた

 今回のフェスで、日本三大ばやしの一つ「花輪ばやし」で鉦を叩いた東京学芸大学1年生の手島彪冴(ひょうご)さんは、フェスを通し改めて伝統芸能の力と大切さに気がついた。

「一番感じたのは、みんなが一つになって演じることで生まれた絆と温かさです。また、子どものころから自然と触れることで地元を愛するきっかけになり、多くの人に見てもらうことで地域の活性化にもつながると思います」

 伝統芸能は日本を世界に紹介する意味でも大事だともいう。小学校の教員志望だという手島さんは、こんな思いを語った。

「音楽の授業で各地の伝統芸能を子どもたちに教えて、次の世代に残していきたいです」

(ジャーナリスト・野村昌二)

AERA 2024年4月8日号

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