今後は水原氏への捜査が進み、全容が解明されていくことになるだろう。米国で通訳を務め、水原氏と面識があった関係者は複雑な表情を浮かべる。

「いまだに信じられないんですよね。なぜ違法賭博で身を滅ぼすようなことをしたのか……。一平さんは大谷や家族だけでなく、日本ハム、エンゼルス時代のチームメート、関係者に愛されていた。彼のことを悪く言う人間は誰もいなかった。それがこんな事態になって……。大谷をだまして巨額のお金を盗み取っていたなら許されることではありません。この段階で言及するのは早いかもしれませんが、罪を償い、ギャンブルから手を切って再スタートを切ってほしい。大谷と再会することは二度と叶わないかもしれないが、通訳の仕事を辞めるのはもったいない。彼は発言者の意図をくみ取りながら、場の空気を呼んで発信する能力が非常に高い。同じ通訳として勉強させてもらったケースが多々あります。借金を返すのに何年かかるか分かりませんし、日本や米国で仕事を得るのは厳しいかもしれないけど、英語圏の国に移住して通訳として再起してほしい。色々な報道が流れていますが、今は見聞きしないほうがいい。精神的に弱っていると思うので追い詰められてしまう。自暴自棄になるのが怖いですね」

誰よりもプロフェッショナル

 かつて日本ハムでプレーした選手は、大谷の気持ちを推し量る。

「翔平が記者会見で機械的に声明文を読み上げたって意見を見ましたけど、僕はそう見えませんでした。あんなに辛そうに話す姿は初めて見た。一番信用していた人に裏切られたのだから、つらいに決まっています。なかなか心の整理がつかないかもしれないですけど、彼は誰よりもプロフェッショナルなので、野球のパフォーマンスに影響が及ぶことを一番嫌がるでしょう。きっちり結果を出してくれると思います」

 新天地でのシーズンはまだ始まったばかり。「最高の相棒」とショッキングな形で袂を分かつことになったが、大谷の挑戦は続く。

(今川秀悟)