「国内の打ち上げであれば、家族や親せきが気軽に見送りに行ける」
SPACE NTK社の葛西さんのところには、そんな声も届いている。宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工からは「日本で遺骨を乗せた衛星を打ち上げる予定はありませんか」と、国内でのサービス展開への問い合わせもあったという。
しかし、国内には現在、遺骨を宇宙に届ける能力がある民間ロケットはなく、和歌山県串本町の「スペースポート紀伊」から打ち上げられたスペースワン社のロケット「カイロス」も、打ち上げ直後に爆発する結果となった。
国内での打ち上げの可能性について、葛西さんはこう話す。
「まずロケットの信頼性が確保されて、費用面も含めて、お客様のご理解が得られてからですね」
現在、今年10月の打ち上げに向けて、スペースXと調整を進めているところだ。5月中に遺骨が届けばこれに間に合うという。
「人は亡くなったら、星になるのよ」
幼いころに母親に言われた言葉が、葛西さんが宇宙葬を始めるきっかけとなったという。そして、宇宙へ遺骨を届けた次は、月面に納骨堂を建てる計画も考えている。
「星になって輝くって、ワクワクするじゃないですか。そんな思いで申し込んでいただければ、とてもうれしいです」
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)