春のお彼岸の時期になった。墓石のある一般的な墓をつくらず、樹木葬や海への散骨といった自然葬の一つとして、遺骨を宇宙に送る「宇宙葬」が身近なものになりつつある。手掛ける企業は海外の代理店も含めて国内に複数あり、ある企業での費用は50万円ほど。依頼するのは富裕層ではない「ごく普通の人」が多いという。現在は海外のロケットで宇宙に運ばれているが、国内で民間ロケットの打ち上げが実現すれば、ニーズはさらに広がると期待される。
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米フロリダ州のケープカナベラルで2022年4月、イーロン・マスク氏が率いるスペースX社のロケット「ファルコン9」が打ち上げられた。
ロケットの先端に搭載されていたのは、人工衛星「MAGOKORO」。それには日本人5人とペットの遺骨、メッセージカード、折り鶴などが収められており、炎を吹き出しながら宇宙に向かって飛んでいくロケットを、家族ら20人が見守った。
遺骨は衛星に乗って数年間、地球を周回し続けた後、大気圏に再び突入。最後は流れ星になって輝きながら、燃え尽きることになる。
遺骨を宇宙に送る「宇宙葬」は、国内でも複数の企業が依頼を受け付けており、すでに多くの利用者がいる米国から宇宙に打ち上げられている。
人工衛星「MAGOKORO」での宇宙葬を手がけている茨城県つくば市のSPACE NTK社の代表取締役社長兼CEOの葛西智子さんは、
「(利用者は)宇宙が好きな、ごく普通の人ばかりです」
と話す。