旅行が好きだったという母親を最後に宇宙旅行に行かせてあげたいと、費用を出し合った3人姉妹。
「自分が死んだら骨の一部を宇宙に散骨してほしい」と言い残したおじいさんの家族。
7歳で病気で亡くなった女の子の夢をかなえたという人もいる。
「その子は『天の川に行きたい』という言葉を残して天に召されたそうです。それで、生きていたら二十歳になる22年に、ご両親とおばあ様の髪の毛と一緒にご遺骨を打ち上げました。今もご家族で宇宙旅行を楽しんでおられると思います」
保護犬の死をみとった後、「毎晩、夜空にいる犬と話がしたい」と宇宙葬を選んだ人も、ごく普通のサラリーマンの家庭だったという。
最後は「流れ星」に
衛星「MAGOKORO」は現在もロケットの最上段に取り付けられた状態で、高度500~600キロの軌道上を周回している。契約を結んだ利用者は、その位置をリアルタイムで、スマホの専用アプリで確認できる。
「でも、その方角に向かってお祈りするというより、夜空を見上げて故人さまを偲ばれているようです。寝たきりのおばあちゃんでも自宅のベッドの上から星になったおじいちゃんと毎晩会えるのがいい、と言ってくださります」(葛西さん)
宇宙へ送り出す遺骨は、パウダー状にして縦約13センチ、直径約5センチの円筒形のカプセルに納められる。
費用は、50グラムほどの遺骨で55万円。カプセルいっぱい200グラムでは110万円。ほぼ一人分の遺骨(約2キロ)は770万円になる。そのほか、さらにメッセージカードは1万6500円、髪の毛(約10本まで)や爪などは2万2000円だ。
同社では今のところ、墓は建てずに宇宙葬だけ、という利用者はいないが、「墓じまい」の方法のひとつとしても問い合わせが増えているという。
「人は宇宙から生まれ、また宇宙に帰っていく。壮大な輪廻転生です。なので、仏の道には背かないと言われています」
と葛西さんは話す。