長打力が魅力の大城卓三(巨人)

 坂本と同様に今季中に国内FA権を取得する予定の選手が、大城卓三(巨人)だ。「強打の捕手」として希少価値があり、昨年は134試合出場で打率.281、16本塁打、55打点をマーク。長打力が魅力だが、リーグトップタイの21犠打と小技をきっちり決める。チームが21年以降3年連続V逸を喫しているため、大城の配球面がやり玉に挙げられることが少なくないが、守備能力が決して低いわけではない。21年にリーグトップの盗塁阻止率.447をマーク。昨年も盗塁阻止率.373は中村悠平(ヤクルト)に次ぐリーグ2位で自身2度目のベストナインを受賞し、契約更改は5000万円増の推定年俸1億3000万円でサインした。

 他球団の編成担当は「大城の年俸が高いとは思わないですね。攻守で安定した成績を長年残していることを考えると安く感じるぐらい。坂本もそうだけど、FA権を行使するようだったら複数球団の争奪戦になることは間違いない」と高評価を口にする。

『チームがBクラスだったから』

 選手は契約更改の時期になると、他球団の選手の年俸が気になるという。1990年代にパ・リーグの球団でプレーしたOBはこう振り返る。

「結果を出したら年俸が上がると言われるけど、決してそうではないのが現実です。野手で言えば、長打力があるクリーンアップの選手のほうが年俸が上がりやすい。投手で言えば、中継ぎは先発や抑えと違って年俸が上がりにくい。今はコンディションに気を使ってもらって首脳陣に登板間隔を配慮されますが、当時は4連投、5連投が当たり前だった。投げない日も肩を作らなきゃいけない時がある。酷使されているにもかかわらず、年俸が上がらないので先発転向を望む投手が多かったですね。僕も50試合以上救援登板して防御率3点台のシーズンに、ダウン提示されて。『チームがBクラスだったから』と説明されましたが、納得いかない。先発で8勝だった投手が年俸アップしていたのを聞いて、格差を感じました」

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試合の流れを引き寄せる役割