内閣府男女共同参画局長を務め、著書『女性の品格』でも知られる昭和女子大学総長の坂東眞理子さん。女性が社会に貢献し活躍する必要性について語る。AERA 2024年3月11日号より。
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46年前の1978年、総理府(現・内閣府)の婦人問題担当専門官として第1回「婦人白書」をまとめました。そこに記したのは「日本の女性は、性別役割分担にしばられ、男性とは格差がある」という事実。その後もこのテーマに向き合い続け、内閣府男女共同参画局長だった2003年には「20年に女性指導者を30%にする」という目標を定めて、閣議決定に持ち込みました。
けれど、06年に発足した第1次安倍内閣当時に、ジェンダーフリーバッシングが起きたことや、経済停滞が続く中で非正規雇用が増えた影響で、日本の女性の活躍は当時期待していたほどは伸びていません。女性の進学率は高まってはいますが、専攻の偏りはいまだに強い。女子大に理工系が少ないことや、法・経への進学が少ないことなど、幅広い分野での女性活躍を考えると、教育分野における対応はやや甘かったと思っています。
一方で、若い世代を中心に、少しずつ女性を取り巻く状況が好転していることも感じています。男性が1人で家族を養っていける時代ではないことがじわじわと認知された結果、働く女性や母親が肯定される雰囲気も生まれています。