06年に発表した著書『女性の品格』では、「女性が社会に貢献し活躍することが必要」と記すとともに、丁寧な言葉遣いやお礼状を書くことの大切さを説きました。女性は男性に比べ、立場を超えたフラットな関係をつくる能力が高いです。肩書にとらわれず、人の価値に差はないことを知っていて、真に相手を思いやることもできる。それこそが私の思う「女らしさ」であり、大切なことだと考えています。

 男性のように競争志向でなくていいんです。今は、ネットワーク型の社会であり、求められているのはサポートしてシェアする能力です。従来の男性による指示・命令型マネジメントを真似する必要はなく、長時間働くことに重きを置く価値観に染まる必要もありません。男性と違った視点を持ち込むからこそのダイバーシティーであり、女性が進出する意味があるわけですから。

 私自身は、何をしても「女性初」と言われ、常にマイノリティーな存在でした。女性というだけで偏見を持たれたり、娘を2人出産しましたが、仕事に追われ、母親として落第だと悩んだり。でも今は、選択肢が増えました。これまで以上に経済的にも精神的にも自立し、自分自身をマネジメントしなければなりませんが、女性たちにはその過程で良き出会いを得て、女性として、人として、豊かな人生を歩んでほしいと願っています。

(編集部・古田真梨子)

AERA 2024年3月11日号

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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