子役時代の宣材写真と偶然同じポーズになった。あばれはっちゃくは今も歌謡界で大暴れ中だ(撮影/工藤隆太郎)

 純烈リーダー、酒井一圭。「あばれはっちゃく」で主演デビュー後、ガオレンジャーになり、プロレスラーになり、クラッシャーカズヨシになり、そしていま、スーパー銭湯アイドル「純烈」のリーダーとして年間300近いステージに立つ。運に流されるだけでなく、常に自分を客観的にプロデュースし、熱意で周囲を巻き込みながら裏方としても仕掛け続けている。

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2023年12月、東京・港区にあるザ・プリンス パークタワー東京のボールルームには、さっきまで行われていたクリスマスディナーショーの興奮冷めやらぬままに、着飾った女性たちが長い行列を作っていた。CDを2枚買えば参加できるハイタッチ会。行列の先で待ち受けるのはムード歌謡グループ、純烈の4人だ。

 リーダー、酒井一圭(さかいかずよし・48)は、どんどん流れてくるファンの指先をギュッと握り、笑顔を向けた。

「今年は何回もよう来たな~、ありがと!」

「お父さんも一緒? 今日は夫婦水入らずやね」

「プチ整形したって? マジ? 似合ってるわ」

「杖(つえ)、増えてるやん。お母さん、来てくれてありがと、またね」

 わずかな時間でも温もりのある言葉を返していく。純烈のSNSなどに頻繁に登場する名物スタッフ、巨漢のマネージャー・山本浩光(50)、日本クラウンのプロモーター・新宮崇志(42)らにも駆け寄り「今年もお疲れさまでした!」とハイタッチを求めるマダムたち。新宮が「こっちはいいから、あっち(純烈)に集中して!」と言うとワッと笑いが起きた。人と人の距離が近い。どこか懐かしいような心地よさが、ここにはある。

 小田井涼平(53)卒業後、新メンバー、岩永洋昭(44)が加入して第1弾となるシングル「だってめぐり逢えたんだ」は10万枚を突破し、グループ3枚目のゴールドディスク認定曲になった。NHK紅白歌合戦には6回連続出場中。そんな今でも、年間300近いステージに立ってCDを手売りする「スーパー銭湯アイドル」としての心意気は変わらない。酒井は、そんな純烈の生みの親であり、一切のプロデュース業も行っている。

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 結成時は誰もが無謀だと言った。酒井は言う。

「そりゃそうですよ。演歌・歌謡界は何らかの歌のグランプリを獲った人だったり、誰々先生の弟子だったりする人たちの世界。何のツテもない僕らが勝手にムード歌謡を始めて、『夢は紅白、親孝行!』とか言ってるんだから。周りからしたら『いいかげんにしろよ』なんだけど……でも、俺はみんなが無理だと言うからこそ、これは絶対にイケると思った。成功したかったらみんなが反対することをやるのが一番早いんですよ。みんなが右にいけば左に行く。そしたら運がついてくる」

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