インタビューに応じてくれた女性編集者(27)の仕事現場

 暗い話も明るい話も織り交ぜたことで、結果的にエムコさんの生き方がよりリアルに伝わる一冊になったと思っています。私はネガティブな性格で、日々生きづらさを感じることが多いので、前向きでキラキラした人の話を読んでも「いや、こんなふうに思えんし……」って冷めちゃうんです。でもエムコさんの、どんなときも人生を面白がろうとする姿はすごく等身大で、自分も目指してみようと思えます。
 

こんな世の中で、子どもは産みたくない

――日々感じている「生きづらさ」とは?

 私、子どもが大好きなんですけど、自分の子どもは産みたくないんですね。金銭的に余裕があるわけでもないし、社会には「何が起きても自己責任」っていうムードが漂っているし、子ども連れのお母さんが知らない人にベビーカーを蹴られたとか抱っこひもを外されたっていう話も聞く。こんな世の中で、もし産まれた子どもに重い病気や障害があったら、私の人生詰むんじゃないかって思っちゃいます。自分一人生きるだけでも不安だらけなのに、さらに新たな命を生み出すなんて……と、暗い気持ちになるというか。

 子どもが産まれることで、今と同じような働き方ができなくなったら困るという気持ちもあります。私の父は一切家事をやらず、パートで働く母にすべての負担がかかっていました。そういう姿を見てきたから、正直、夫婦で家事を分担するなんて夢のように思えてしまって。

 実際、九州に住む祖父母から夜に電話がかかってきて、「まだ会社にいるよ」って言うと、「お相手の方(※同棲している彼氏)の夕飯はどうしているの?」って聞かれます。

 朝、自分用にお弁当を作って会社に持って行っていると地元の友達に話したときは、「なんで自分の分だけ!?」「彼氏さんに捨てられなくてよかったねー」って驚愕されました。冷凍のブロッコリーを凍ったままごはんに突き刺したような、まったくたいしたお弁当じゃないんですけどね(笑)。

 もう、私が子どもを産める間に、夫婦が対等になる日が来るとは思えないです。私の妹は母から、「お姉ちゃんに孫は期待できなさそうだから、あなたに期待する」と言われているそうです。
 

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「あばれたい」に込めた思い