棚は本・書類・雑貨などであふれ、床置きも多かった/ビフォー
棚は本・書類・雑貨などであふれ、床置きも多かった/ビフォー

「今まで母が家に来たときに片づけてくれたことがあったのですが、しっくりこなくてすぐモノが散らかるようになったんです。でも、プロジェクトで教わったメソッドに沿って自分で考えて片づけたら、こんなにも暮らしやすいのかとビックリしました!」

 きれいになった家の中は、思い描いていた「居心地のよい場所」へと生まれ変わりました。モノの定位置が決まっているので戻しやすく、1日の終わりにはすぐリセットできます。「片づけられない自分」の影はどこにもありません。

 夫は「家にいて休まる」と喜んでくれ、娘は着替えや学校の準備などを自分でできるようになって満足気な様子です。

目的別に分類されてモノの場所がわかりやすくなりました/アフター
目的別に分類されてモノの場所がわかりやすくなりました/アフター

 そして、プロジェクト中に夏休みで家に戻ってきていた息子も、苦手な片づけに奮闘している母親の背中を見ていたのでしょう。「大学に戻る」と家を出て、しばらく経ってからリーナさんに電話をくれました。

「やりたいことがあるから、通信教育を申し込んだ。今後の就職のために、こっちに残ってもいいかな?」

 リーナさんは驚くと同時に、とても喜びました。不登校のときは「死にたい」と言って暴れることも少なくなかった息子が、これまで向き合わなかった未来のことを考えて一歩を踏み出したのです。

「偶然かもしれませんけど、私がずっとコンプレックスだった片づけをがんばったタイミングだったので、それが少しでも影響していたらうれしいですね」

 そして、リーナさんも息子と同じくさらに一歩を踏み出すことを決意します。

「今の仕事を辞めることにしました。大好きな仕事だけど、ここ数年はやりきった感もあって悩んでいたんです。片づけを通して自分と向き合ったら、『今とは違う形で誰かの役に立ちたい』という気持ちが大きくなったので、やりたい仕事に挑戦しようと思って」

きれいになったリビングにはお気に入りのアートポスターを飾っています
きれいになったリビングにはお気に入りのアートポスターを飾っています

 自身の経験も踏まえて、不登校の子どもがいる家族を支えるような仕事をめざしたいとい言います。

「世帯収入も減るし資格もないし、まずは勉強からなのですごく不安なんですけどね」

 リーナさんはそう笑って話しますが、きっと大丈夫でしょう。だって、今までずっと片づけられなかった自分を、たった45日間で変えられたのですから。

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