渡航後、ユウコさんが働き始めたのは、郊外の町にある日本食レストランだった。個室のあるシェアハウスで暮らしながら、電車で職場に通勤した。最初のうちは慣れない環境に戸惑うこともあったが、海外にいるという状況そのものが新鮮で、楽しかった。レストランで働く半数以上が日本人で、接客英語さえ覚えれば、他は思ったより英語を使う機会が少なかった。レジと料理を運ぶ仕事から覚え、慣れてくるとキッチンで簡単な調理の補助もした。ユウコさんと同じくワーホリで来ている日本人も何人かおり、みんなレストランで働きながら、並行して他の仕事を探しているようだった。

 というのも、ユウコさんが働くレストランは、先述の通り時給約1400円からのスタートで、昇給は6カ月目から。だが昇給といっても、時給約100~200円しかアップしない。賃金が安いため、多くの従業員が掛け持ちで仕事をしていた。1日7時間働いて約1万円、1週間で約5万円、1カ月で約20万円。シェアハウスの家賃は、週に約3万円、1カ月で約12万円(光熱費、ネット代込み)だから、ほとんどが家賃に消えていく。一部屋を複数人でシェアするルームシェアタイプのシェアハウスにするともっと家賃を抑えられるが、プライバシーは守りたいことから、個室はどうしても譲れない。

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