※写真はイメージです(Getty Images)

 日本と協定を結んでいる国や地域で、休暇目的の入国や、旅行・滞在資金を貯めるために働きながら一定期間滞在することができるワーキングホリデー。その制度を利用し、オーストラリアに渡ったユウコさん(仮名、29歳)。働きながら英語力を身につけるはずが、現地で風俗の世界に踏み込んでいた──。松岡かすみ記者がまとめた朝日新書『ルポ 出稼ぎ日本人風俗嬢』から一部を抜粋、再編集して紹介する。
 本書では、違法である性風俗業での海外出稼ぎの実体験のみならず、出稼ぎがはらむリスクやそこに至る社会的要因などを多方面から取材。個人の責任如何でなく、現代日本社会全体で考えるべき問題を提起している。

【グラフ】賃金が上がらない日本の現状はこちら

* * *

 ユウコさんは英語がほとんど話せない。そのため、必然的に職が絞られることになる。英語が話せず、未経験でもOKという日本人向けの求人で圧倒的に多かったのが、日本食レストランだった。賃金は日本円で時給約1400円スタートと、当時のオーストラリアの最低賃金より低い金額だったが、英語が話せないから、あまり職を選べる状況にない。それに時給1400円は、それまで日本で働いていたコールセンターの仕事を時給換算した金額よりは高かった。日本でもう少しお金を貯めてから渡航することも考えたが、行きたいと思った時に行かないと、その思いも冷めてしまいそうな気がした。となると、背に腹は替えられない。働きながら少しずつ英語力を身につけ、並行して他の職を探せば良いと考え、現地に飛んだ。

著者プロフィールを見る
松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

松岡かすみの記事一覧はこちら
次のページ
海外では低賃金労働もある