放射線治療は、がんの3大療法の一つ。この約20年で急速に進歩し、がんの「根治」のための有力な治療手段になった。そこで週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2024』では、全国の病院に対して独自に調査をおこなった。病院から得た回答結果をもとに、手術数・治療数の多い病院をランキングにして掲載している。本記事では「肺がん放射線治療」の解説とともに、肺がんに対する放射線治療患者数が多い病院を紹介する。

【病院ランキング】肺がんの放射線治療患者数が多い全国トップ15病院

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 肺がんは、大きく「小細胞がん」とそれ以外の「非小細胞がん」に分けられる。

 全体の8割以上を占める非小細胞がんにおける比較的早期(Ⅰ期・Ⅱ期)の根治的な治療は、手術が第1選択だ。高齢や持病などで手術ができない人や手術を希望しない人には、放射線治療が推奨されている。東北大学病院の神宮啓一医師は言う。

 「放射線治療はガイドライン上、2番手の位置づけですが、高い線量をピンポイントで病巣に集中させる体幹部定位放射線治療(SBRT)が進歩し、手術に匹敵する好成績を挙げられるようになりました。ただし両者を直接比較した研究が少なく、手術とどちらがいいと言い切ることはできない状況です」

 手術は摘出したがんの組織を詳しく調べて効果が高い薬を割り出し、再発時の治療に役立てるといったメリットがある。一方、からだへの負担やQOL(生活の質)の面ではSBRTのメリットは大きい。治療時の痛みはなく、通院4回程度の照射で終了する。普段と変わらない生活を送りながら、治療が可能だ。

免疫療法を加えることで5年生存率が10%向上

 病変がより広い範囲にみられるⅢ期も基本的には手術を優先する。かなり進行しているなど手術が難しい場合には、抗がん剤と放射線治療を組み合わせる「化学放射線療法」がおこなわれる。

 「従来の化学放射線療法後に免疫チェックポイント阻害薬のイミフィンジ(一般名デュルバルマブ)を投与すると5年生存率が約10%向上することが明らかになり、現在は免疫チェックポイント阻害薬までセットになった化学放射線療法が標準治療になっています」(神宮医師、以下同)

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