自治体で使われているフロッピーディスクと読み取り用のディスクドライブ(左)=米倉昭仁撮影

総務省は「議論していない」

 今回の経産省の省令見直しは、FDなどの記録メディアの指定を廃止する「デジタル原則」の一環で、デジタル臨調は今年6月までに終えることを目指している。

 ところが、全国の地方自治体では今でもFDを普通に扱っている。

 例えば事業者は毎年1月末までに、従業員にどれだけ給与を支払ったか、住民税の算出に使われる「給与支払報告書(給報)」を各市町村に提出することになっているが、CDやDVDのほか、FDでも受け付けている。

 なぜFDによる提出を認めているのか、いくつかの自治体は判で押したように同じ答えを返した。

「総務省からそのような通知が出ています」

 総務省市町村税課も、このように説明する。

「手続き上、事業所に不都合なことが生じるわけではないので、給報の提出方法からFDを外す、外さないという議論自体していない」

 しかし、銀行では近年、FDからデータを読み込む機器の維持管理にコストがかかっているとして、FDでの振込手続きの新規受け付けをやめ、既存の顧客には手続きの有償化を進めているところが相次いでいる。たとえば、みずほ銀行はFDを使う顧客には月額5万円の料金を設定している。

 自治体も同様のコストがかかっていると思われるが、総務省は「FDの提出を認めていることについて、特段議論はしていません」との回答だった。
 

セキュリティー「最強」のFD

 給報を提出するには「eLTAX(エルタックス)」という電子申告が普及しているが、どんな事業者がFDを使っているのか。

 都内でも中小企業が多い中央区の担当者は、

「外部ネットワークに接続できなくて、エルタックスを使用できない事業者が多い」

 と説明。具体的には病院や学校だという。

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