阪神・福島圭音
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 プロ野球のキャンプも中盤に入り、対外試合も行われる時期となってきた。各球団で注目が集まるのがやはりドラフト1位で入団したルーキーたちで、特に武内夏暉(国学院大→西武1位)、度会隆輝(ENEOS→DeNA1位)などは1年目から一軍の戦力として大きな期待がかかっている。しかしその一方で育成ドラフトでの入団ながら、意外な即戦力となる可能性を秘めた選手も確かに存在している。

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 まず投手で名前を挙げたいのが松原快(日本海リーグ・富山→阪神育成1位)だ。高朋高校から地元の社会人チームであるロキテクノ富山に進んだが、目立った成績を残せずに4年で退社して2022年に日本海オセアンリーグ(現・日本海リーグ)の富山に移籍。1年目はスピードはありながらも制球難で防御率4点台に終わったものの、2年目の昨年はスピード、コントロール、変化球全てにおいて大きくレベルアップを果たし、5勝0敗、防御率0.89という圧倒的な成績を残してMVPにも輝いた。

 サイドに近い腕の振りで、躍動感あふれるフォームから投げ込むストレートはコンスタントに150キロを超えるスピードがある。ストレートと変わらない軌道から鋭く変化するスライダー、カットボールも威力十分だ。阪神は強力投手陣を誇るため一軍定着は簡単なことではないが、変則フォームでボールに力のあるタイプは岡留英貴くらいしかいないだけに、希少性の高さも魅力だ。今年で25歳という年齢を考えても、1年目から支配下登録を目指したい。

 投手では大江海透(九州アジアリーグ・北九州→オリックス育成2位)と芦田丈飛(BCリーグ・埼玉→オリックス育成4位)の2人も1年目から期待が高い。大江は久留米工大4年時に大きく成長。スカウトがその投球を見て、一瞬同じリーグでプレーしていた同学年の隅田知一郎(西日本工大→2021年西武1位)と間違えたという逸話も持つ。九州アジアリーグでは2年目の昨年途中からリリーフに転向し、78回を投げて90奪三振をマークした。独立リーグで体格も球威も明らかにアップした印象を受ける。チームは左のリリーフが手薄なだけに、1年目からチャンスはありそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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即戦力の可能性を秘めた育成新人野手は?