音楽プロデューサー・松尾潔氏の新著「おれの歌を止めるな ジャニーズ問題とエンターテインメントの未来」(講談社)が上梓された。
EXILE、JUJU、CHEMISTRYなどのヒット曲を数多く手がけてきた松尾氏は、故・ジャニー喜多川(喜多川擴)氏の性加害問題をはじめ、社会的な問題について積極的な発信を続けてきた。日刊ゲンダイの連載コラム「松尾潔のメロウな木曜日」、コメンテーターをつとめる「RKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』」でのコメント、さらにジャニーズ問題に対する発言によって、所属事務所から契約を解除されるに至った経緯を綴った文章などが収められた本作。そこには2022年から2023年にかけて起きた様々な社会的な問題が活写されている。
賛否両論を巻き起こしながら、それでも社会的な発言を続ける松尾氏に、この本に込めた思いや背景にあるものについて語ってもらった。
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――新著「おれの歌を止めるな ジャニーズ問題とエンターテインメントの未来」が発売されました。エンターテインメントの世界に起きたさまざまな問題と変化を実感できる、時代のスケッチのような本だなと。
ありがとうございます。そうなっていればいいですけどね。年始にライターの竹田ダニエルさん(1997年生まれ、カリフォルニア州出身、在住。そのリアルな発言と視点が注目されるZ世代のライター)とお会いしたときに、「書くというより、実況しているつもりなんです」とお話したんですよ。とはいえ、その際にどうしてもバイアスがかかると思うので、できるだけ冷静に、抑制を効かせて書いているつもりです。特にジャニーズ問題に関しては、メディアで発言するよりも、できるだけ自分で作成したテキストで発信したいという気持ちがあって。一筆書きではなく、自分なりにかなり推敲を重ねています。
――SNSの即時的なアクションだけではなく、じっくり論旨を固めた文章で伝えたいと。
はい。もちろん恣意的な切り取りをされる懸念もついて回りますが、ある程度はしょうがないという覚悟も必要ですよね。