とくに、頑張って働いているのに、なぜか手元のお金が増えないときは、大体こうした「自分を見失っているとき」でした。自分が気に入っていたらそれが一番いいのに、です。

 社会や周囲からの「よかれ」に沿わなければいけないと思っていたときの私は、「よかれ」を勝手に「せねば」に変換していました。

料理せねば」「おしゃれせねば」「キャリアアップせねば」と、「せねば」に圧せられて働きすぎていた上に、余計なお金も使ってしんどかった記憶があります。

 でも、それも全て、自分がそう勝手に思い込んでいただけだったのです。

 本当はもっと、世界は広くて、たくさんの選択肢がありました。

 そして「よかれ」を押し付けてきたと思っていた周囲も世間も、それほど深く考えてものを言ってなかったりして、別に真に受けることもなかったのです。

 私の脳内シミュレーションよりも、世界や世間はもっと軽快で自由で、ずっと広いものだとわかりはじめてから、周りのことも自分のことも「こんなもんだ」と緩く捉えることができるようになりました。

 私たちが身を置く世間の情報は、自分がどう考えるかよりも「これが正解」「これが答え」「こっちの方がイケてる」という感じで打ち出されていることが多く、あまりそれらに引っ張られすぎていると、どんどん「いまのままではダメなんじゃないか」とうっかり思わされる流れができている気がします。

 この思い込みを手放すのは、本当に、言うは易しです。

 でも、諦めずに「自分の心地よさ」をしつこく探求し続けるからこそ、どこかでふっと気づくことなのかもしれないなとも思います。

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かぜのたみ

かぜのたみ

「暮らしと自分をととのえる」をテーマに、YouTubeでの音声配信「かぜたみラジオ」のパーソナリティをつとめる。仕事での無理がたたって心身の調子を崩して以来、持ち物やお金の使い方、働き方など生活にまつわるあらゆる側面を見直し、月の生活費7万円以下の暮らしにたどり着いた。ラジオでの柔らかな語り口と、物事の本質をつく鋭い内容が話題を呼び、SNSフォロワー数は8万人を突破している

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