町内にあるジムで汗を流す村山。早いときは朝5時から来てトレーニングをしているそうで、たしかに筋肉質な体形をしていた。村山が通うようになってジムに日本人会員も増えた(撮影/今村拓馬)

「外国人ばかり優遇」 批判には理屈で説明する

 町では現在51カ国の外国籍の住民が暮らしている。もっとも数が多いのがブラジル国籍だが、最近急増しているのが、技能実習制度で来日しているベトナム人だ。大泉国際交流協会の副会長、月橋章(71)は元家電メーカーのエンジニアとしてベトナムに駐在した経験を持つ。その縁で、協会内でベトナムの国と人を紹介する講座を開催してきた。20年の秋ごろ、突然村山から町内に住むベトナム人たちに町長室への招集がかかった。不思議に思いながら同席した月橋は、村山の発言に驚かされた。

「いま日本国内のあちこちで、罪を犯したベトナム人が逮捕されるニュースが相次いでいます。その影響でみんながいじめられたり、差別されたりしていることはないか? なにか困ったことがあれば町が協力するから、なんでも言ってくれ」

 当時、農作物の窃盗などベトナム人がかかわる犯罪報道が続いていて、月橋も胸を痛めていたときだった。

「集まったベトナム人は20人くらいだったと思います。わざわざそんなことをいってくれて、びっくりしたし、感心もしました」

 外国籍住民に対しての融和的な政策に、町の内外から批判も当然ある。

「外国人ばかり優遇しているのでは」

「これ以上外国人を町に入れるな」

 メールもあれば、直接面と向かって言われたことも多い。そのたびに村山は、

「優遇しているのでなく、日本人と同じ税金を納めている住民として、公平な行政サービスを提供しているだけです」

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