「集団管理から、個の管理の時代に変わったと感じています」
そう話すのは、防災メーカー・ホーチキの人事担当者。かつては上司の指示に従い、言われたことをそのままこなす人が「優秀な社員」だった。
Z世代ならではの発想
だが、今は違う。
「右向け右ではなく、自分たちから主体的にやりたいことを言える人材を求めています。そして、今の学生さんは私たちにはない発想を持っている方が多いと日々感じていますね」
商品企画のインターンをしたときには、学生から飛び出した「まずは防災機器に興味を持ってもらうための漫画をつくり、ユーチューブ動画にする」というアイデアに驚いた。
「私たちは商品ありきで物事を考えてしまうけれど、その学生さんはユーチューブありきで組み立てていった。視点が全然違う。そういった発想力を求めています」
マイナビキャリアリサーチラボ・主任研究員の東郷こずえさんは、「採用を成功するためにもインターンの存在感は年々大きくなっている」とその重要性を訴える。
「大勢の応募者から選抜する形ではなく、一人ひとりの学生と丁寧なコミュニケーションを取ってどれだけ志望度を醸成していけるかが、大きな分かれ目になります」
かつては“内定辞退”を防ぐために、内定後のコミュニケーションに重きを置く企業も多かった。だが、今や選考に入る前から、学生と深く関わることが不可欠だという。
政府は、25年卒の学生からインターンの定義を変更。「5日間以上」などの条件を満たした場合、学生の情報を採用に利用してもいいと認めている。
「業務やその企業の人のことを深く知るなかで、なんとなく気になっていた企業が志望企業に変わっていくことは十分あります。中小企業や学生の第一志望群に入りづらい企業ほどインターンを通して学生と出会うことをおすすめします」(東郷さん)
(編集部・福井しほ)
※AERA 2024年2月5日号より抜粋