とくに手のこわばりは初期症状として多くみられ、朝起きたときに手を動かしにくい、握れないなどの症状があらわれますが、少し時間が経つと戻っていきます。
「朝、フローリングなどの硬い床を歩くと、足裏の、指の付け根と土踏まずの間の盛り上がっている部分が痛むという人もいます」(針谷医師)
痛みについては、ドアノブを回す、水道の蛇口をひねる、ペットボトルのキャップをあけるなど、手首を回転させる動作をすると痛む、あるいは重い荷物を持ったとき、包丁でかぼちゃなどの硬いものを切ったときに痛む、などの症状がみられます。
「最初は1カ所の関節が痛くなって数日で治まるということを数週間、数カ月おきに繰り返し、そのうち間隔が狭くなり、1カ所だったのが2カ所、3カ所と増えていく。さらに、痛みだけでなく腫れも加わり、関節に炎症が起きていることを示す症状があらわれます。また、これらの症状は左右対称に出やすく、完全に同じではないものの、右手の親指と左手の人差し指というように、対称性に症状が出るという特徴もあります」(大野医師)
関節以外の症状では、肺の炎症による「間質性肺炎」、肺を包む膜が炎症を起こす「胸膜炎」、目の白目部分に炎症が起こる「強膜炎」、皮膚にコブのようなものができる「リウマチ結節」などの症状がみられることがあります。
早期に適切な治療をすれば症状をコントロールできることも多い
関節リウマチは慢性疾患であり、よくなったり悪くなったりを繰り返しながら進行していく病気ですが、進行のしかたや症状の程度には個人差があります。病気が進行すると、関節が破壊されて手足に変形が起こり、手を使う動作や歩行などが困難になるなど、日常生活への影響が大きい病気といえます。
一方で近年は、新薬が登場するなど関節リウマチの治療法は大きく進歩しています。治療により約80%の人が、症状がほとんどなく診察や検査でも病気が治まっていると判断できる「寛解」の状態や、寛解には至らなくても軽い症状や検査所見が残る程度の「低疾患活動性」という状態になると報告されています。つまり、「早期に適切な治療をすれば症状をコントロールすることができ、病気になる前と同じような日常生活を送ることが十分に可能な病気である」と2人の医師は口をそろえます。