ちなみに、テスラ誘致熱はインドだけでなく、東南アジアでも根強い。日本経済新聞によれば、インドネシアのジョコ大統領、マレーシアのアンワル首相、タイのセター首相もそれぞれマスク氏に直談判しているという。ちなみに、もはや日本メーカーにEV工場をつくってくれと頼む東南アジアの首脳はいない。東南アジアでも、確実にテスラのブランド力がトヨタのそれを上回ったことを物語る。
こうした現状をトヨタなどが的確に予測できなかった原因はどこにあるのだろうか。
それは、先進国にありがちな、「途上国は先進国よりも脱炭素などの意識が遅れている」という上から目線の偏見によるものだったのではないか。新興国によくある「リープフロッグ現象」のことを知らなかったはずはないが、偏見で目が曇り、新興国で日本を超えるスピードでEV化が進むことや中国EVのブランド力がトヨタを超えることなど想像できなかったのだろう。せいぜい自分たちの敵はテスラくらいだと侮っていたと言われても仕方ない。
しかし、途上国でさえEV化の波が大きくなっているのを見れば、結局、EV化の大きな流れは止まらないことがわかるし、世界全体で見るとむしろ早まる可能性すらある。日本メーカーのトランプ待望論が仮に実現したとしてもそれに変わりはないだろう。
日本メーカーの危機は依然として続いているのだ。