非常に憂慮すべき事態ではあるが、これは、日本の産業界にとっては朗報だ。いまだにまともなEVを作れない日本メーカーは、昨年のEV販売競争でも結局惨敗した。

 ロイターが引用した市場調査会社ロー・モーションによれば、EVとプラグインハイブリッド車(PHEV)を合わせた広義のEVの23年世界販売台数が1360万台となり31%増加した(22年の60%増からは鈍化)。純粋なBEV(バッテリーEV)は950万台だという(この段階での数字は速報であり、後で修正される可能性は高い)。

 メーカー別の情報はまだ出ていないところが多いが、中国のBYDが23年のEV販売を73%増の約157万台(この他にPHVは52%増の約143万台)に伸ばして、米テスラの約181万台に迫った。同年10〜12月期には約53万台でテスラの約48万台を超えたと報じられている。

 22年には、BEVの販売で100万台を超えていたのはテスラ(約131万台)だけで、2位のBYDが約91万台、中国の上海汽車集団が約75万台、独フォルクスワーゲンが約57万台(独CAMの統計)と数十万台レベルで追走するという構図だったが、23年は世界のEV市場は100万台オーダーの争いになっていることがわかる。

 これに対して日本で報じられるニュースは極めて惨めだ。23年の日本のEV国内販売台数は、8万8535台。これでも前年比5割増である。最も売れた日産の軽EVサクラで3万7140台でしかない。

 気になるトヨタだが、世界市場でのEV販売は当初見通しを遥かに下回る十数万台にとどまると見られている(23年11月時点の同社見通しは同年度12.3万台)。24年のトップ争いが200万台を超えるものになるのが確実な中で、はっきり言って、競争に参加もしていないというのが実情だ。最近も2人乗りの小型EV「C+pod(シーポッド)」の生産を24年夏ごろに終了すると発表した。20年からの累計販売台数がわずか2000台程度という惨めな結果だった。

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日本メーカーにとって世界のEV化の減速は願ってもないこと