1勝するのも難しい
では、「ワールドマスター」に出場するというのはすごいことなのだろうか。日本ブラジリアン柔術連盟の中井祐樹会長によれば、「出場すること自体は、そこまで難しいことではない」のだという。
「世界大会といっても、日本予選、アジア予選のようなものがあるわけではありません。連盟に加盟している道場に所属して青帯以上を取得し、各道場から2名までという条件をクリアしていれば、自分の帯・年齢・体重に合ったカテゴリーにエントリーすることができます。現在のところはカテゴリーごとの人数制限や出場資格規制は設けられていません。大会自体が一大フェスティバルのような側面があり、ホノルルマラソンなどに近いノリがありますね」
ただし……と、中井会長は続ける。エントリーは簡単でも、そこで勝つことは難しいと。
「昨年のワールドマスターは3日間、広い会場に30以上のマットを設けて行われ、参加人数は全体で1万人以上に及びます。それぞれに仕事もある中で日々の練習を積み、ラスベガスに渡航して出場し、年々レベルが上がっている中で、勝ち上がるのは『大したもんだな』というのが率直な感想です。『生きているうちに一度は世界大会に行きたい』と思っている柔術家はたくさんいますが、その中で出場を実現する人は一握り。その大半が1回戦敗退する中、1勝したという岡田さん、玉木さんはブラボーだし、優勝した福島さんは素晴らしいと思います」
(ライター・高崎計三)
※AERA 2024年1月22日号より抜粋