「ダウンタウンDX」千回に際し、記者会見したダウンタウンの松本人志さん(左)と浜田雅功さん(右)(2016年)
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 松本人志さんの件。

【写真】「2025日本万国博覧会誘致委員会発足式典」で記念写真に納まる松本人志さんら

 本人のSNS、後輩芸人の発言など、今回の報道を巡る当事者らのさまざまな反応からは、松本さんを頂点とする男性芸人のあいだでは先輩を「接待」する習慣があり、そういう「合コン」のために後輩が女性を集めていたことは事実のようだ。

「接待」は「合コン」という体を取ってはいるが、自分の人脈でどれだけの女性(この場合、女性の価値は若さと容姿)を集められるかが問われるもので、純粋な遊びというよりはやはり、芸能界で生き抜いていくための一種の仕事のように見える。

 吉本芸人の博多大吉さんは10年ほど前、バラエティー番組の公開収録イベントでこう語っていた(下積み時代の笑い話として)。

「福岡吉本で僕ら、先輩の接待ばかりやってたんですよ。東京、大阪から先輩芸人が来る度に、おいしいご飯屋さんとか、おいしい飲み屋さん、一席飲みたいという方には女の子もちょっとセッティングして、というのを僕ら15年ほどやってました」

 博多大吉さんは、松本さんらが来るときには仲間内から「まぁ、わかってるな、女の子をちゃんと用意するように」と暗黙の了解のように言われたそうだ。

「女の子」は、酒や食べ物と同じように、厳選し、準備し、用意するものなのかもしれない。こうやって後輩芸人が先輩芸人に女性をセッティングしてきた長い歴史の結果が、今回の性被害報道につながっていったのだろう。当事者の男性たちからすれば、「今まで問題にならなかったし、女性たちだって楽しんでいたはずなのに、今になってなんで?」と青天の霹靂かもしれない。

 でも、“私たち”は知っている、のだと思う。この国を生きる女ならば、その「合コン」の空気を知っている。男性が“シモ”で連帯するときの羽目の外し方のようなもの、そのなんとも言えないはしゃぎ方が醸し出す威圧的な空気というのを、この国を生きている女であれば。 

 それをカジュアルに言えば、“キモくて怖い空気”である。

 松本さんの60歳の誕生日を祝うスペシャル番組を見た。昨年の9月に放送されたもので、親しい後輩芸人たちが松本さんとのエピソードを語るというものだ。

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