1月10日、孤立状態が続く石川県珠洲市大谷地区の避難所。食事の提供は1日2回となっていた

 日本は国として、直ちにこの基準に基づいた災害対策を講じるべきではないでしょうか。自然災害の多い国なのに、避難所といえば今も体育館や公民館の床に仕切りもなく寝る方式。段ボールベッドや小テント状の囲いも普及しつつありますが、安心安全な避難生活には程遠い。

 日本がなすべき最大の「国防」は、災害対策です。自然とは交渉ができません。人々の命と生活を守るために、国はいつ、どこで大規模な災害が起きても被害を最小限に抑えられるよう、最大限のお金と知恵を投じるべきです。命が助かっただけでも有り難いと思えと言わんばかりの劣悪な避難所の状況は人道上深刻な問題です。国がスフィア基準に沿った対策を講じれば、二次被害や災害関連死を減らせます。見慣れた「非常時の風景」を完全に変える施策にこそ、国費を投じるべきです。

AERA 2024年1月22日号

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