エッセイスト 小島慶子

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

【写真】石川県珠洲市大谷地区の避難所

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 能登半島地震の救援活動と被災された方の支援が一日も早く進むことを願います。義援金やふるさと納税、現地で支援活動を行うNPOへの寄付も、大きな助けになります。

 今回は、無闇に被災地に駆けつけないように、個人による一方的な支援物資の送りつけは控えるようにという呼びかけなど、過去の災害の教訓が早い段階で拡散されました。避難所の運営上必要な情報もSNSで共有されています。

 その中でよく目にするのが「スフィア基準」という言葉。国際平和協力研究員OGの外山聖子さんの記述によると、スフィア基準とは1997年に策定された「人道憲章と人道対応に関する最低基準」のこと。「災害や紛争の被災者には尊厳ある生活を営む権利があり、援助を受ける権利がある」「災害や紛争による苦痛を軽減するために実行可能なあらゆる手段が尽くされるべきである」という二つの権利と理念に基づいた、人道支援を行う国際機関やNGOによる自主的な活動の基準です。

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小島慶子

小島慶子

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。共著『足をどかしてくれませんか。』が発売中

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