さらに進行すると下半身の運動機能が低下し、ロコモティブシンドローム(運動器症候群。通称「ロコモ」)になることがあります。
「ロコモティブシンドロームとは、骨や関節、神経、筋肉などが衰え、立ったり歩いたりする動作が困難になり、要支援・要介護や寝たきりになる状態をいいます。50歳以上の人のうち、7割以上に可能性があると言われているので注意が必要です」(佐藤医師)
「ただの腰痛」と思っていて、がんなどが発覚することも
腰の病気で次に多いのが、腰椎椎間板ヘルニア。10〜40代に多く、患者数は約100万人といわれています。
加齢や、重いものを持つ、運転など繰り返される外力により、背骨の腰部分にある椎間板の内容物が押し出されて突出してしまう状態です。腰やお尻が痛み、足にもしびれや痛みを生じ、力を入れにくくなることもあります。進行すると、陰部のほてり、尿漏れ、便や尿が出づらいなどの症状が起こります。
「自ら異変を感じるきっかけは、腰などに生じる痛みが多いでしょう。手のしびれなど、神経症状には要注意です。神経は取り換えることができませんから、進行してしまうと、たとえ手術をしても元に戻ることはありません。また、はじめの症状は腰痛でも、調べたらがんの転移や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)による圧迫骨折が発覚するというケースもあります」(佐藤医師)
佐藤医師によれば、受診の目安は「3日以上、同じ痛みが続くこと」。慢性症状になりかけているため、診察してもらうべきだといいます。また、仕事などを休むほどの痛みであれば、3日経つ前に病院へ行きましょう。
整形外科または脳神経外科の専門医に診てもらう
対応している診療科は、整形外科と脳神経外科の二つ。どちらを受診しても、診察、検査内容などに変わりはありません。「どちらの診療科であっても脊椎の専門医が望ましいです」と佐藤医師は話します。整形外科医による日本脊椎脊髄病学会と、脳神経外科医による日本脊髄外科学会があり、それぞれの公式サイトで各地の指導医を調べることができます。
「各学会が認定している指導医は、若手を指導できるほどの技術や経験をもっているため、おすすめできます」(佐藤医師)