誰もが一度は感じたことがあるであろう、首こりや肩こり、腰痛。首や腰の病気は、背骨に沿って脳からの神経が通っているため、しびれなどの神経症状が生じることも。適切な治療が肝心。首や腰の病気について解説します。
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本記事は、2024年2月下旬発売予定の『手術数でわかるいい病院2024』で取材した医師の協力のもと作成し、お届けします。
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40〜60代が発症する「頸椎症」
首・腰には、さまざまな病気があります。首から紹介しましょう。
首の病気で最も発症する人が多いのが、頸椎症。背骨の一つひとつの骨をつなぎ、その間でクッションの役目を果たしている椎間板は、20歳を過ぎると変性が始まります。ひびが入ったりつぶれたりして、骨までも変形して神経を圧迫するのが頸椎症です。
日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院院長で整形外科専門医、脊椎脊髄外科名誉指導の佐藤公治医師は次のように話します。
「姿勢の悪い人や、仕事などで首に負担をかける動作をする人などがかかりやすく、年代としては40〜60代が発症しています」
症状は、肩こり、首から手にかけての響く痛みやしびれ、足のしびれ、動きづらさなど。進行すると、排尿障害、排便障害が起き、ぼたんかけや箸の使用なども困難になります。
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腰で患者の多い病気が、腰部脊柱管狭窄症です。
背骨の後ろ側を通っている脊柱管は、神経が通るトンネル。椎間板や靱帯などに囲まれています。加齢などにより、椎間板などの組織が変形して、脊柱管が狭くなり、中の神経が圧迫される病気です。多いのは60代以降で、40代以上を対象にした大日本住友製薬(現・住友ファーマ)の調査では、国内の推定患者数は約240万人。別の調査では、潜在患者数は250万~570万人といわれています。
主な症状は、腰痛、足の痛みやしびれ、麻痺(まひ)など。神経の圧迫状態が続くと、両足裏のしびれ、残尿感や便秘、陰部のほてりなどが起きます。腰部脊柱管狭窄症に特有な症状として、一定の距離を歩くと症状が出て休まずには歩けなくなり、休んでから歩くことを繰り返す間欠性跛行(かんけつせいはこう)もあります。