新天地にかける思いは伝わるか

 かつて、ソフトバンクで中村晃とチームメートだった選手は「晃さんはソフトバンクを象徴する選手」と強調する。

 「一緒にプレーしたことで改めて凄みを感じました。難しい送球を抜群のハンドリングできっちりアウトにするし、一塁の守備は日本一うまいと思います。打撃でも首脳陣の思惑や試合展開を見ながら、次の打者につなげる打席、自分が決める打席と状況判断を見極めて結果を出す。ソフトバンクの黄金時代は、晃さんの存在なくして実現できなかった。それぐらい凄い選手だと思っています。35歳とベテランの域に入りましたが衰えが見られず、スキがない。相手チームからしても厄介な存在だと思いますよ」

 他球団のスコアラーもこの意見に同調する。

「野球に緻密さが消えた」

 「山川は素晴らしい選手ですよ。ソフトバンクは近藤健介、柳田悠岐の後を打つ強打者が不在だったので弱点を補う補強だと思います。ただ、中村晃が一塁のスタメンから外れることで失策の数や失点数は間違いなく増えるでしょう。一塁の守備力が全然違いますから。外野に中村晃を入れることになれば近藤と柳田の2枠は決まっているので、外野の守備範囲が広い牧原大成、周東佑京を使えなくなる。補強したら、その分出場機会を減らす選手が出てくる。これは必然です。攻守の両面で考えると、山川の加入が必ずしもプラスアルファになるとは限りません」

 ソフトバンクは17年から4年連続日本一に輝いている。日本シリーズで巨人と対戦した19、20年に史上初の2年連続4連勝と圧倒した強さは衝撃的だった。しかし、21年以降は3年連続V逸。22年は勝てばリーグ優勝という公式最終戦で敗れ、オリックスに逆転優勝を許すと、昨年も7月に54年ぶりの12連敗を喫して優勝戦線から脱落。リーグ3連覇を飾ったオリックスに15.5ゲームの大差をつけられた。近藤は日本ハムからFA移籍1年目で本塁打、打点王の2冠に輝き、米国から日本球界に復帰した有原航平もチームトップの10勝をマークしたが、かつての絶対的強さが鳴りを潜めている。在福スポーツ紙記者は「野球に緻密さが消えた」と分析する。

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