「ソフトバンクを象徴する選手]と評される中村晃

 山川は「故障者特例措置」による登録日数の加算でFA権を取得した。去就はどうなるのか――。西武が今季の推定年俸2億7000万円から大幅減俸の単年契約を提示したことが報じられるなか、権利を行使してソフトバンク移籍を決断した。福岡の民放テレビ関係者は複雑な表情を浮かべる。

 「誤解を恐れずに言えば、ソフトバンクは間違ったことをしているわけではない。右の長距離砲は大きな補強ポイントでしたし、山川が加われば打線の破壊力が変わる。自身の不祥事で迷惑を掛けてしまいましたが、プロ野球選手の寿命は短い。セカンドチャンスを与えたいという意味合いもあったのでは。ただ、ファンから反発の声が予想以上に多かった。この逆風はしばらくおさまらないでしょう。山川はそれも覚悟の上で選んだ道だと思うので信頼を積み重ねるしかない」

 新天地にかける思いは伝わってくる。山川の個人マネージャーが元旦にインスタグラムで、「年越しバッティング」の様子を公開した。マシン打撃で打ち込む姿を紹介していた。4日には山川自身がインスタグラムのストーリーを更新し、自主トレの様子を配信。室内練習場でフリー打撃と守備練習を行い、最後にサッカーで軽快にリフティングしている場面が映し出された。

山川は本職の一塁に

 今年の春先から公式戦に遠ざかっているブランクはあるが、試合を重ねれば実戦の勘を取り戻すだろう。気になるのは小久保裕紀新監督の起用法だ。オフに巨人からトレード移籍で加入した長距離砲のアダム・ウォーカーは外野守備に不安を抱えるため、指名打者での出場がメインになる公算が高い。山川は本職の一塁を守ることになる。そこで、スタメン剥奪の危機を迎えるのが中村晃だ。昨季は一塁でチームトップの118試合にスタメン出場。外野も守れるが、一塁の守備能力は球界トップクラスと評されている。今年は一塁でパリーグ歴代トップタイの4年連続ゴールデングラブ賞を受賞。打撃は本塁打を量産する派手さはないが、広角に安打を打ち分ける。14年には最多安打(176本)のタイトルを獲得。ただ打つだけでなく選球眼の良さに定評があり、出塁率が高い。昨季は136試合出場で打率.274、5本塁打、37打点をマーク。出塁率.351はリーグ6位の数字だった。

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プラスアルファになるとは限らない