その試合に関わった選手や監督の多くは「応援とブーイングが半々」と試合前には予想していたものの、ほとんどのファンの感情はネガティブなものに。

 当時レンジャーズでプレーしていたラファエル・パルメイロ一塁手は「15年間メジャーでプレーしているけど、選手にとって最もタフな経験だったと思う」と語れば、マリナーズでAロッドとともに戦ったマイク・キャメロン外野手は「リスペクトがない。自分は対処できないよ。4万5000人のファンが彼をブーイングすると決断したんだ。Aロッドがこの街に何をもたらしてくれたか知っているはずなのに……」とファンの反応に無念さを示した。

 しかし、当の本人は「すべて楽しんでやっただけ。だから彼らは最高のファンなんだよ。ポストシーズンモードだったね。もし自分がマリナーズのユニフォームを着ていれば僕のことを応援していたわけだし」とマリナーズのファンを全く批判せず。「ここでは多くの楽しい思い出がある」と予期せぬ負の感情に対してもあっけらかんと振り返っていた。

 Aロッドが移籍したレンジャーズファンも出て行った選手に対しては辛辣だった。

 2008年から5シーズンにわたって中軸としてプレーしたジョシュ・ハミルトン外野手が2012年のオフにFAとなり、5年総額1億2500万ドル(約179億6000万円)でエンゼルスに移籍すると、凱旋となった翌年4月5日の試合ではブーイングの嵐を浴びせた。エンゼルスへの移籍が決まった後、TVのインタビューで放った「テキサスは真のベースボールタウンではない」という発言もファンの怒りに油を注ぐ形となってしまった。

 ロドリゲス同様に凄まじいブーイングを浴びたハミルトンは「自分がこの街に熱い気持ちを生み出せたことは嬉しいよ。正直、どのプレーオフのゲームよりも大きな声が出ていたし、それについては喜ばしいことだよ。この熱がシーズンを通して続くといいね」と“嫌み”ともとれる発言を残している。

 なお、ハミルトンは移籍先のエンゼルスでの成績はさっぱり。2015年のシーズン途中に古巣のレンジャーズに舞い戻り、復帰試合ではスタンディングオベーションで迎えられている。

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古巣ファンに好意的に迎えられたMVP3度のレジェンド