ケンジと店長の掛け合いをこう振り返る。
「内野さんは、美容室での僕との掛け合いの中では、ユルい感じ。まるでセッションするようで、僕がこう出たら、ケンジがこうする、ケンジがやってきたことに対して、僕はこうしようとか。昔からの友人って感じですよね。
店長とケンジ以外にも美容室の中には役者さんがいるから、美容室の空気感を内野さんは大切にされていた気がします。そこまでは内野さんと語り合わなかったですが。美容室の中では、内野さんを中心とする一座として一瞬一瞬を演じていた感じです」
セッションとは、ミュージシャンの顔を持つマキタさんらしい表現だ。さらに、内野さんはゲイの美容師のケンジという役をうまい具合に「調律」していたと話す。
「ケンジ」を注意深く演じる姿
「season2に限った話ではなく最初の頃からですが、内野さんは、例えば大げさなしなをつくったりするような、過剰な女性っぽいしぐさに対してはものすごく注意深くやっていました。
これ以上やってしまうと下品に見えるとか、滑稽になってしまうとか、そういうことに関しては注意してやっていたと思う。
もっと大げさでもいいんじゃないかな? と思うこともあった。美容室では、大げさに振る舞ったほうが面白いのかもしれないし、店長とケンジが二人っきりのときは気心も知れた仲なので、例えばの話、『どんだけぇ~』みたいな典型的と言われるおネエ言葉になってもいいのかもしれないけれども、内野さんは、そこにはいかなかった。
それは内野さんの調律の仕方ですよね。僕として『どんだけぇ~』のような雰囲気でケンジがきてもいいかなと思う瞬間もあったのですが、ドラマの上がりを見てみるとやっぱり丁度いいんですよ。美容室の世界観の中では、そこまでの演技は必要ないんですよね」