横田慎太郎さん。28年の人生を全力で生き抜いた。2021年7月、鹿児島県の平和リース球場で
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 今年7月18日、元阪神タイガースの選手・横田慎太郎が脳腫瘍で亡くなった。その2カ月後、阪神はセ・リーグ優勝。横田のユニホームも胴上げされた。常に全力でプレーする姿は、仲間だけでなく、多くのファンも魅了した。短くも、人一倍濃密に生き抜いた28年の人生を両親が語った。

【写真】28年の濃密な人生を駆け抜けた横田慎太郎さん。ご両親がインタビューにこたえてくれた

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 阪神タイガースのリーグ優勝が懸かった2023年9月14日の対巨人戦。18年間待ちわびた悲願とあって、甲子園球場をぎっしり埋めた観客は、歓喜の瞬間に心逸らせていた。

 4-2で迎えた9回表。絶対的守護神・岩崎優が登板。登場曲はいつもの「アイキャントライ」ではなく、ゆずの「栄光の架橋」だった。思いがけない曲に、涙を浮かべるファンもいれば、背番号「24」のユニホームを高々と掲げる観客もいた。「栄光の架橋」は、今年7月18日に28歳の若さで逝去した横田慎太郎の登場曲で、背番号24は彼のユニホームだった。

仲間と宙を舞った24番のユニホーム

 横田慎太郎の父・真之(60)と母・まなみ(62)は、鹿児島県日置市の自宅でテレビ中継を見ながら阪神の優勝の瞬間を待ちわびていた。不意に聞き慣れた曲が耳に飛び込み、感情が壊れた。まなみが言う。

「思いがけないことだったので、涙があふれて止まらなかった。慎太郎も一緒にグラウンドに立っているような気がして……」

「横田の思いを背負って投げた」と語った岩崎は1点差で抑え、リーグ優勝を引き寄せる。

 勝利の喜びを爆発させた選手らは、監督の岡田彰布を胴上げすると、次に24番のユニホームを持った岩崎を宙に舞わせた。その光景を見たまなみは、再び両手で顔を覆った。

「息子が胴上げされている。そんな錯覚に陥りました」

 ロッテ中日などで活躍した元プロ野球選手だった真之は、阪神と息子の幸せな関係をこれまでにも幾度となく見てきたが、また改めて思い知った。

「僕も野球界のことは知っているつもりですが、息子と阪神の関係は、単なる球団と選手の結びつきじゃないと思います。息子は本当にいい球団に入団した、って」

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