米国ファンの間でも「最も好感度が高い通訳」としてSNS上で人気

 ドジャースタジアムで今月14日に行われた入団会見。大谷が右肘を痛めて9月下旬に自身2度目の手術に踏み切ったことに関して、米国メディアから質問が立て続けに及んだ。手術内容の詳細が公表されていなかったため、「9月の手術はトミー・ジョン手術だったでしょうか?あえて言わないことで交渉への影響はあったのか?」という問いに、大谷は「そうですね。術式については前回とまた違うので。そこをどう表現するかは専門外なので。そこはドクターのほうが詳しいかなと思います」と語った。水原さんはこの発言を以下のように英訳した。

「私は医療の専門家ではないので手術の名前はわかりません。最初の手術と違ったのは確かだけど、かかりつけ医にでも聞いてみて」

 会見場は爆笑に包まれ、そのニュアンスを察知した大谷は笑みを浮かべた。

 米国駐在の記者はうなる。

 「一平さんは子供のときに米国に住んでいたので、現地の人達の気質や文化を理解している。デリケートな質問にもどう対応すれば、大谷が悪い印象を抱かれないかを瞬時に判断する。なかなかできることではありません。メジャーに来た日本人選手の中には日本人通訳を通じて自分の意図がうまく伝えられず、現地メディアに誤解されることがありましたから」

 水原さんは米国ファンの間でも「最も好感度が高い通訳」として、SNS上で人気だ。その理由が興味深い。

「試合で乱闘が起きた際は大谷が巻き込まれないように守ったり、昨年のオールスターゲーム前に行われたレッドカーペットショーでは、大谷から少し距離を置いて後ろを歩き、スマホで撮影していた。一平さんは米国で育ちましたが、アメリカナイズされている部分ではなく、謙虚で日本人の美徳を大切にしている部分がフォーカスされている。その振る舞いが米国に住む人たちには新鮮に映るのでしょう」

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