一平さんの通訳だと少し柔らかい表現になるという

 メジャー担当のスポーツ紙記者も同調する。

 「大谷は米国に6年間住んでいるし、英語を聞き取れる。エンゼルス時代に他の選手たちに聞くと、『翔平は日常会話なら十分に話せるよ。冗談も良く言うしね』と話していました。ただ、野球の戦略面など専門的な細かいやり取り、日米メディアに対応する囲み取材、オフィシャルな記者会見では、専属通訳が必要になる。面白い現象なのですが、大谷が日本語で話すとちょっと冷たく感じる発言が、一平さんの通訳だと少し柔らかい表現になったり、ウィットなワードを使うので、米国の人達がイメージする無邪気な大谷像にマッチする。通訳は奥深いなと感じますね」

 常に冷静で思慮深い。そんな水原さんが珍しく感情を爆発させたのが3月のWBCだった。侍ジャパンで大谷、日系選手で初の代表入りしたラーズ・ヌートバー(カージナルス)を通訳としてサポート。決勝・米国戦で大谷が最後の打者となったマイク・トラウトを空振り三振に仕留めると、選手に負けない全速力でマウンド上の大谷に向けて走っていた。選手たちが集まり何重もの輪ができると、水原さんは我に返ったのか天を見上げて穏やかな表情でベンチのほうに向かっていた。

 「一平さんがあんなに喜んでいる姿を見たのは初めてでした。でも恥ずかしそうに輪から外れて……。ああいう姿にも人間味を感じますよね。愛される理由ですよ」(前出の米国駐在記者)

 大谷の挑戦はまだまだ続く。ドジャースで悲願のワールドチャンピオンを何度達成できるか。最高の相棒である水原さんの存在も欠かせない。

(今川秀悟)

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