一方で、自力で獲ったチケットと同じくらい、私には強力な「関係者的コネ」を持った両親や親族がいたため、その恩恵に随分と甘えさせてもらったのも事実です。
一介の学生が、世界的一流アーティストを、甚だ優遇された席で観たコンサートもいくつかありました。特に1990年代は、「プラチナチケット」と呼ばれていた、松任谷由実、ドリカム、中島みゆき、B’z、サザン、安室奈美恵、マライア、ホイットニー、マドンナ、ジャネット、YMO、スティービー・ワンダー、エリック・クラプトン、マイケル・ジャクソン、ジャミロクワイ、アース・ウィンド&ファイアーなど、挙げたらキリがありませんが、「関係者席」ではないにしろ、何かしら大人の力を頼って手にしたチケットはたくさんあります。
ただひとつだけ、「コネ」があろうと「遠縁」であろうと、絶対に「関係者」としては観に行けない興行がありました。それが「ジャニーズ」です。
「ジャニーズを観たけりゃ、まずファンクラブ」というのが、当時から絶対的な定説でした。私は、ずっとジャニーズファンでしたが、公式ファンクラブなるところに入会した経験はゼロです。
もっと言えば、90年代後半ぐらいまで「男子学生がジャニーズ好きを公言する」「ジャニーズのコンサートに行く」という概念すらなかったぐらい、彼らは「女性たちだけのもの」でした。
もちろん、男子だろうと、ファンクラブに入会し、熱量高めの女性客たちに交ざって、SMAPやV6のコンサートを観るのは夢でしたが、男にとってそれは、今とは比べ物にならないぐらいハードルが高かったのは確かです。