ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの連載「今週のお務め」。28回目のテーマは「『関係者席』から観たNEWS」について。
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今年も本当にたくさんのコンサートやライブ、舞台を観に行く機会を頂きました。松任谷由実(3回)、20th Century、山下達郎、男闘呼組(2回)、MISIA、八方不美人、ナジャ・グランディーバ、The Good-Bye、和田アキ子、浅田真央、TM NETWORK、椿鬼奴(劇団椿)、爆笑問題(タイタンライブ)、小泉今日子、鈴木杏樹、さらには中尾ミエからピーターまで。実にいろいろなステージに足繁く通いました。
コンサート・イベント・舞台・スポーツ観戦などには、昔から「関係者席」と呼ばれるものがあります。そこには、読んで字のごとく、その興行に関わりのある縁者や顧客、家族を中心とした人たちが案内されます。平たく言えば「身内」です。
「関係者」は会場でチケット代を支払うのが通例ですが、演者や興行主側から「招待」を受けるケースもあります。
昨今、人気の高い興行などでは、「関係者席」の存在自体に疑問を抱く人たちも多いと聞きますが、私も、長年にわたって自分が出役の興行を催している身として、どんなに「不公平だ」だの「客を蔑ろにしている」だのと言われても、この慣習(程度の差はあれど)はなくせないものだと思っています。
もちろん、私も「一般枠」で人気コンサートなどのチケットを買う難しさを知っています。今のようにネットなどなかった学生時代には、週末の早朝から、「ぴあ」や「セゾン」を扱う駅近くの窓口に並んで、ユーミンやプリプリや森高や安室奈美恵といった人気コンサートチケット争奪戦に精を出していたものです。
ラーメン屋も遊園地もトイレにも並びたくない傲慢で怠惰な私が、人生で唯一懸命に並んだのは、後にも先にも「ぴあ」だけです。お陰で、高校時代から洋邦問わず、たくさんのコンサートを観ることができました。