「ミヤイチー!!!!!!」

 隣にいたリュウも泣いてくれている。

 横断幕が目に入った。

「トリコロールの宮市亮 再びピッチで輝け 待ってるぞ」

 サポーターたちによる、僕のチャント(応援歌)の大合唱が始まった。その大声援につつまれた瞬間に、僕の心は決まった。

「絶対に戻らなきゃいけない」
「もう一回みんなの前でピッチに立ちたい」

 一度は、本気でサッカーをやめようと思った。

 僕の職業はプロサッカー選手だ。これまでに繰り返したケガの多さ、稼働率の低さは、プロとして決してほめられたものではない。長期間にわたりチームを離脱し、たびたび迷惑をかけてきた。多くの人を失望させもした。だから、やめようと思った。

 でも、これだけ待っていてくれる人がたくさんいる。SNSでもたくさんメッセージをもらった。この時、「たぶん、自分はやっぱりサッカーがやりたいんだな」と思い知らされた。「やっぱりサッカーが大好きだ」と思った。だから、「また、はい上がっていこう」と思えた。

 サッカーから離れかけた気持ちを、SNSにメッセージをくれたみんなに食い止めてもらい、スタジアムでもらった大声援で、完全に引き戻してもらった。

 F・マリノスとアントラーズの試合を見ながら、「どんなに苦しいことがあっても、絶対に戻る。ラストチャンスだ」と覚悟を決めた。そして、「少しでもケガに苦しんでいる人たちの後押し、恩返しになるのなら、復帰までの様子をSNSなどで公開しよう」と考え始めていた。

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