インドネシアのバリで開かれた国際会議に娘2人を同行したとき空港で=2023年8月、梅津さん提供

子どもの部活をがんばった

 研究者ってずっと一日中研究に向かっているかと思えば、うちのお母さんは全くそんなことはない、とか言って。私は赤ちゃん時代の子育てはそんなにがんばってないんですけど、子どもの部活や活動にはすごくかかわった。それこそテニスが好きなんで、子どものテニス部の練習場所を確保したり、コーチから合宿を企画してほしいと言われたら企画したり、送り迎えももちろんしますし、親の会をつくって運営するとか、自分で言うのもなんですけどがんばったんです。

 土日はすごく忙しかったですよ。子ども全員が今日試合とかね。主人とどっちが誰を送るか、迎えにいくか相談して。子どものテニスとサッカーの試合の大部分はビデオを撮ってますね。

――へええ。お嬢さんは2人ともテニス?

 そうです。息子はサッカーを結構がんばって県で招集されるぐらいにはなったんです。4歳から18歳までずっとサッカーをしていて、出張のとき以外ほとんどの試合を主人と一緒に観にいっていました。

 私の父がそうだったんですよ。テニスで国体に出場するくらいのスポーツマンで、よく一緒にテニスやスキーに連れていってくれた。私のために練習場所を確保してくれたし、試合にはすべて来てくれたし。結局、親がしてくれたことを子どもにしただけです。

――息子さんはどういう分野の研究をしたいんですか?

 生命科学に興味があるって言っています。スポーツをやってきたから、どういう仕組みで細胞や筋肉が動いて結果的にパフォーマンスを上げられるのかとか、そういうのに興味があるらしい。

――保育園のほうの後継ぎは?

 それは誰も考えていないです。うちの主人は自分の代だけでいいってはっきり言っているし。旦那のほうの家系って、継ぐっていう発想がないんじゃないかな。

――ご自身は今年副所長になって、このあともさらに重い役職が回ってきそうですね。

「副所長に」と所長から言われたときは驚いて、自分にはやれる気がしないし、そぐわないって思いましたけど、基本、仕事は断っちゃいけないんでね。まあ、自分が思ってもいなかった仕事もやらないと伸びないっていうか、成長しないっていうか。やるしかないですよね。 

東北大学金属材料研究所の入り口に立つ梅津理恵さん
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高橋真理子

高橋真理子

高橋真理子(たかはし・まりこ)/ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネータ―。1956年生まれ。東京大学理学部物理学科卒。40年余勤めた朝日新聞ではほぼ一貫して科学技術や医療の報道に関わった。著書に『重力波発見! 新しい天文学の扉を開く黄金のカギ』(新潮選書)など

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