考える前に体が動いた
取材の最後、Aさんに「もしまた強盗現場に遭遇したら、同じ行動をとりますか?」とたずねると、「うーん」と悩みつつ、こう返ってきた。
「あの行動が正解だったのかは分かりません。ネットのコメントに、『もし強盗を店に閉じ込めたせいで、中にいる店員さんが殺されちゃったら、人殺しじゃん』みたいな声もあって、たしかになと思いましたし。やっぱり、プロである警察に任せるのが一番だと思います。でも、また同じことをしちゃいそうな気もするんですよね。あのときは、正義感とかではなく、考える前に勝手に体が動いていたので」
事件当時と変わらず、今も時計店の入り口には「防犯強化中 警察がすぐきます!!」と書かれた貼り紙がされている。だがAさんによると、現在は店員がドア近くに立って、見張りをするようになったという。
(AERA dot.編集部・大谷百合絵)