強盗が車に乗り込んで逃走すると、Aさんはすぐに車のナンバーを撮影した。画像を一部加工しています(写真:Aさん提供)

逃げた車も撮影しに行った

 そこでAさんは、あとで警察に提供できるよう、店内の様子をスマホで撮りはじめた。しかし、徒歩数分の距離に交番があるのに、なかなか警察官が来ない。そこで、強盗たちが逃げてしまう前に少しでも足止めになればと、店のガラス扉を閉めた。

 だが、強盗団の男の一人がそれに気づきドアを開け、今度は足でドアを押さえながら、仲間から渡された腕時計を回収していく。しかしAさんは、ひるむことなく男に近づき、外からドアを押し返して再び閉めようとした。数秒の押し合いのあと、男は「ぶっ殺すぞ!」と叫び、Aさんがドアから手を離した瞬間、ほかの2人の男とともに一目散に逃げていった。

 一歩間違えば危害が加えられてもおかしくない状況だが、Aさんは、男たちが逃げたあとも冷静に行動する。

「『ぶっ殺すぞ!』って言われたとき、向こうは3人いるし私の力じゃどうしようもないので、ここは引こうと思って手を離したんですけど、すぐに逃げた車のナンバーを撮りにいきました。そのあとは、もうできることがないから自分のお店に上がって、お皿を洗っていたらサイレンの音が聞こえて。『あ、やっと警察が来たんだ』と思って、そのとき撮った写真のデータを渡しにいきました。私が通報してから、15分くらいはたっていたんじゃないかな」

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「殺されたらお店開けられないな」