また若手も投手では西純矢、及川雅貴、富田蓮、門別啓人、野手では小幡竜平、井上広大、前川右京などがブレイクの兆しを見せている。さらに今年のドラフトでは大学、独立リーグ、社会人から力のある投手を指名して、ますます層が厚くなった印象だ。梅野と坂本誠志郎の後継者となる捕手に将来的な不安は残るものの、坂本の今年の充実ぶりを考えればそこまで緊急性は感じられない。他球団の主力選手をFAなどで集めるのではなく、生え抜きの選手をしっかり育てて主力にしてきたことが、現在の余裕のある編成に繋がっていると言えそうだ。

 編成上の課題を強いて挙げるとすれば外国人選手ということになるだろう。今年プレーしたビーズリー、ノイジー、ミエセスの3人が残留となったが、それぞれの成績は以下のようになっている。

ビーズリー:18試合1勝2敗0セーブ0ホールド 防御率2.20
ノイジー:133試合114安打9本塁打56打点0盗塁 打率.240
ミエセス:60試合28安打5本塁打16打点0盗塁 打率.222

 ノイジーはセ・リーグ最多の補殺数を記録するなど守備での貢献度は高かったが、3人ともこの数字を見れば揃って残留させたというのは少し疑問が残る。今年のチーム打撃成績を見ても出塁率や盗塁数は高いものの、本塁打数はリーグ5位の数字に終わっており、長打力には課題があることは確かだ。ノイジーとミエセスを揃って残留させるのではなく、もう少し長打が期待できる外国人野手を狙っても良かったのではないだろうか。

 ただ外国人選手の活躍に期待しなくても十分に戦える戦力が揃っており、世代交代に備えて若手が充実していることも間違いない。来年以降も阪神がセ・リーグを牽引する、その可能性は極めて高いと言えそうだ。(文・西尾典文)

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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