息子が不登校になり自分を責めたという、めいめいさん。いま不登校の家族が気軽に集える食育サロンを開く準備をしている(写真:本人提供)
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 子どもが不登校になったことを自分の責任だと感じ、追い詰められる親は少なくない。当事者である40代女性が当時の心境を振り返る。AERA 2023年12月18日号より。

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 私の育て方がいけなかったの──。関東地方に暮らすめいめいさん(40代)は、息子が不登校になった時、自らを責めた。

 いま通信制高校に通う息子は、小学校1年生の夏から学校に「行き渋る」ようになった。理由を聞いても何も言わない。

 それでも、めいめいさんは、子どもは学校に行くもので、学校へ行くことが将来の幸せに繋がると信じていた。学校からも「無理しない程度に毎日連れてきてください」と言われたこともあり、息子を半ば無理やり通わせた。だが、夏休みに入ると、天真爛漫だった息子が些細なことで苛立ちを見せるようになった。食事中に箸を折ったり、マンションの壁に頭をぶつけたりした。ある時、キッチンの物を全て引き出しや戸棚から出して、壁に投げつけた。それが3日間ほど続いた後、キッチンにあった包丁を手にし、しばらく眺めた後、元に戻した。その様子を見てめいめいさんが「もう学校は行かなくていいんだよ!」と抱きしめると、息子はワンワン泣き出し、その日から暴れることもピタッと収まったという。めいめいさんは夏休みの間じゅう、息子に「もう学校に行かなくていいからね」と伝え続けた。同時に、自分を責めた。

2023年12月18日号より

 めいめいさんは、息子の考えを尊重して育ててきた。しかし、小学校に入ると集団生活の中でルールに従わなければいけなくなる。そのため、息子は集団になじめず、苦しむことになったのではないか、と。

「息子の人生をめちゃくちゃにしたと思ってました。自分を責め、息子を殺して自分も死のうとまで考えました」

 その後、めいめいさん自身、学校では何かを主体的に学ぼうと思う人間に育たないと考えるようになり、頑張らせることをやめた。息子は3年生の途中から、完全に学校に行かなくなった。中学になると自分から勉強をしたいと言ってきたので、家庭教師に来てもらったりした。いま通信制高校の1年生。将来は料理人になりたいと、夢を語っているという。めいめいさんは振り返る。

「人生の中で、あれほどつらかったことはありません」

(編集部・野村昌二)

AERA 2023年12月18日号