無意識なブラック行動の典型が、「部下の時間を奪うこと」。たとえばメール処理ができない上司もブラックです(写真:gettyimages)

 優れたリーダーとは「気くばりができる人」です。これまで、ビジネスは上意下達。上司が決めたことを部下が実行していれば成果は出ていました。

 ところが、いまは顧客ニーズが複雑化した影響で、顧客の接点に近い、現場のメンバーが細かいニーズを吸い上げなければ成果が出なくなったのです。つまり、リーダーは、現場のメンバーが最高の環境で働くことができるように「気くばり」するのが仕事なのです。

 本稿では、カルチュア・コンビニエンス・ クラブをはじめ、数々の会社で代表取締役を務めた柴田励司氏が、新刊『リーダーの気くばり』より部下に対してリーダーが考えるべき「気くばり」について解説します。

 以前に『もしかしてブラック上司?』(ぱる出版)という書籍を上梓しました。

 この本は、暴言罵倒する、残業を強いるなどの人格否定的な「ブラック行動」について書いたものではありません。むしろより深刻な「当人にまったく自覚がない」ブラック行動がテーマです。

よかれと思ってやっていることが…

 自分の常識からすると当たり前の行動で、むしろよかれと思ってやっているのに、部下にはブラックと思われてしまう……。そのような言動をしていないかを読者にチェックしてもらうため、まとめたものです。

 無意識なブラック行動の典型が、部下の時間を奪うことです。

 たとえば、メール処理ができない上司もブラックです。メールの処理が遅い上司はブラック資質保有者、部下の仕事のタイミングも遅延させます。

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