厳しい判定で点数が伸びなかった今大会。フリーの翌朝の会見では「今回は優真君が素晴らしい演技でした」と気持ちを切り替えていた(写真:西村尚己/アフロスポーツ)
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 フィギュアスケートGPシリーズNHK杯(11月24~26日、大阪)が行われた。男子は鍵山優真と宇野昌磨が優勝争いをする熱戦となった。AERA 2023年12月11日号より。

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フリーでは演技中盤のトリプルアクセルで転倒したものの、一番の見せ所であるステップシークエンスでエネルギーを爆発させた(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 ショートで鍵山優真(20)が今季世界最高点の105.51点をマーク、宇野昌磨(25)は100.20点で迎えた翌日のフリー。満席の会場に、宇野は黄色、鍵山は青、色とりどりの応援バナーが揺れる。先に登場した宇野は、

「久々に、勝負事という気持ちになりました」

 集中した表情で氷に立つと、冒頭の4回転ループ、4回転フリップを降り、演技後半には4回転の連続ジャンプを2本とも着氷。4回転4本を降りる大熱演に、観客はスタンディングオベーションでこたえた。

 200点超えも期待される内容だったが、表示されたのは186.35点。宇野は首を傾げ、ランビエルコーチは頭を横に振った。原因は、四つの4回転すべてが「90度不足」のq判定となり、加点がほとんどつかなかったことだった。

「点数伸びるかなと思ったので……。4回転全部とは……」

 気持ちの整理がつかないままインタビューに臨み、言葉をつまらせる。採点批判をしたくない気持ちや、自分を責める気持ちが入り交じり、混乱した。

「判定は人それぞれだと思います。これ(厳しい判定)が今後の基準になるのは全然構いませんが、そうであれば僕の限界で、僕はこれ以上改善する余地がありません。競技から退くこともあるなと思う試合でした」

 ジャンプの回転の判定は技術役員3人が合議で行うが、あくまでも人間の目で判定するため、試合によって厳しさに差はある。今回は、かつてない厳しい判定、という印象だった。

 そして最終滑走で登場したのは鍵山。宇野の点が伸びなかったと言っても、会場は熱演の興奮が冷めやらない状態だった。

「昌磨君の演技が素晴らしくてスタオベで、緊張感が一気に高まりました。コーチ2人から声を掛けてもらえることで、3人で同じ目標を持っているのを感じて、自分に集中しました」

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