ヤクルトは選手にとってなぜ“離れがたい”チームなのか。ここ数シーズンは多くの主力がフリーエージェント(FA)の権利を取得し、移籍の可能性が大きく報じられたケースもあったが、最終的に残留する選手が続いている。
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今年7月にFA権を取得し、オフの去就に注目が集まっていたリリーフ左腕・田口麗斗は11月14日、自身のインスタライブでヤクルト残留を報告した。「(FA権を)行使するかどうかすごく悩んだ」と語ったように他チームへの移籍も検討していたようだが、ヤクルトでプレーを続ける決断をした。
「(田口の残留は)今オフ最大の補強。今季は抑えとして度胸満点の投球を見せてくれた。3連覇を逃しただけでなく5位に低迷した中、ムードメーカーとしてもチームを鼓舞してくれた。田口がいなければ最下位の可能性もあっただけに、来シーズン巻き返しに欠かせない投手だった」(ヤクルト関係者)
田口は2021年シーズン開幕前、広岡大志(現オリックス)との交換で巨人からヤクルトに電撃的なトレードで加入。巨人では先発、中継ぎと起用法が定まらなかったが、ヤクルトでは移籍したシーズンからセットアッパーとして活躍してリーグ連覇に貢献。今季はチーム事情から抑えを任されたが50試合に登板して、防御率1.86、33セーブと抜群の安定感を見せた。
「高津監督から直接お電話を頂いて僕がぐさっと刺さるような言葉を頂きました。『一緒にやろう。俺はどういう形でも必ずお前を引き留める』と。かなり刺さりました」(11月14日、インスタライブにて)
指揮官からの熱い言葉が残留の決め手となったようだが、球団自体に魅力があったことも引き続きヤクルトでプレーする理由になったはずだ。
「田口が活躍できたのも環境が大きい。褒められて少し調子に乗った方が実力を出せるタイプなので、周囲に煽られずのんびりプレーできるチームが合っていた。まさにファミリー球団のヤクルト向きの選手のように思う」(ヤクルトOB)