最初は訪問者を避けるために柱に上る決断をしたはずなのに、皮肉にもその前代未聞の修行方法によって彼のカリスマ性が際立ち、シメオンは終生、彼の希望とは反対に、多くの弟子志願者を魅了し続けることになります。シメオンの柱は観光地化して、彼の指導を求めたクリスチャンたちやローマ帝国の皇帝、異教徒たちまでもが毎日見物に訪れたそうです。柱の上での生活を37年続けた西暦459年9月1日、シメオンは最後は立ったまま亡くなり、ようやく柱から下ろされ、近くに埋葬されました。

 シメオンが発明した「柱頭行者」という斬新な修行ジャンルは、その後、多くのフォロワーを生み出し、彼のほかに同名の「柱頭行者シメオン」が3人います。本家は「大シメオン」、ふたりめは「小シメオン」、3人めは「柱頭行者シメオン3世」、4人めは「レスボス島の柱頭行者シメオン」と、それぞれ呼び分けられています。

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