「当初は官僚に取っ付きにくいイメージも抱いていましたが、業務説明会に参加してみると、意外にもフランクな雰囲気で、担当職員は私の質問にしっかり答えてくれました。今までは弁護士になってクライアントを助けるために働きたいと思っていましたが、説明会で職員から生の声を聞くうちに、国レベルで制度を設計したり運用したりすることは、人の役に立つという点で同じなのではないか、場合によってはより多くの人の役に立つこともできるのではないかと考えるようになりました。また、国家公務員の仕事はダイナミックで、その点にも魅力を感じました」
そこで弁護士から国家公務員へと進路を切り替えた。国家公務員総合職試験の2次試験となる専門試験では、法科大学院で勉強した法律科目もあり、学んだことをそのまま生かすことができたという。
「1次試験の基礎能力試験は範囲が広く準備が大変ですが、大学院で得た知識のおかげで法律科目の勉強に多くの時間を割く必要がなかったので、1次試験の受験勉強に集中できました。大学からストレートで受けていたら合格は難しかったのではないかと思います」
また法科大学院ではいろいろな出会いもあった。
「法科大学院には裁判官、検察官、弁護士を始め実務家教員がたくさんいました。後日談になりますが、大学院で教えていただいていた検察官に、民事局で再会する機会があり、とてもうれしかったです。また、入管庁にも法科大学院を修了した職員が何人もいたので、心強かったです」
国家公務員総合職試験に合格すると、官庁訪問で採用が決まる。2015年に大江さんは、第1志望だった法務省入国管理局(現・出入国在留管理庁)に就職した。
「少子高齢化や労働力不足が話題となっており、これからは外国人政策の重要性が高まると考えたこと、説明会に参加した際に職場の雰囲気が自分に合っていると感じたことから、志望しました。2019年4月には入国管理局は外局の入管庁に格上げされ、総合職の職員も入局したときの倍以上になり、入管行政がより重要になってきているのを感じます」